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月の昇らない時間、テーブレゥには星の光のみが届く。

月稀人たちはどうやら十分に夜目が効くようで、暗闇で走ることさえできるという。

街には申し訳程度に灯りがかけられているが、暗闇に弱い私が歩くには不十分な明るさだった。

街へ向かう道中、崖に隠れるように作られた小さな村を訪れた。

驚いたことに、彼らの月稀人特有の“角”は非常に小さく、中にはコブ程度の大きさしかない者も居た。

ここでは所謂“角なし”達が身を寄せ合って生活しているという。

月稀人の平均寿命は短く、50年程だという。

テーブレゥの過酷な環境が数字に現れた結果である。

しかし大角の者を始め、ノブレゥやフェルダの国民の寿命はさらに2、30年長い。

月光の安定的な摂取が、彼らの種の繁栄に繋がっているのである。

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