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海を渡り、ノブレゥのはるか東方に向かった私はフランムゥに辿り着いた。

黒いテーブレゥの海における航海は非常に過酷なものであったが(さらに船賃は目を見張るほど高いのである)、無事にたどり着くことは出来た。


初めて訪れた国、大国ノブレゥは雪深くも植物が豊かであった一方、こちらは切り立った崖の中に街が築かれ、岩肌が露出していた。

資源に恵まれているとは言えないようだったが、不思議と街を行く国民は幸せそうに見える。


この国は『戦士の国』と呼ばれている。

戦神ヴィクトゥワの神殿を領地に持つため、国民は皆戦神への信仰心が厚い。


「戦神ヴィクトゥワの祝い」という意味のヴィクトゥフェテという数年に一度の祭りで、最強の戦士を決める伝統があるのだという。


ちょうど今年は祭りが開かれる年だということだ。なるほど街に活気があるのは祭りの為であろう。

街の者に是非見て行ってほしいと誘いを受けた。

テーブレゥは気温が低く、雪深い地域も多いが、平野は比較的気候が穏やかだ。

過酷な山岳地帯とは違い、そこには柔らかな自然の風景があった。

月夜の下、穀物畑は淡く青白い光を放ちながら風に揺れていた。

私が最も愛するかの地の風景である。

神殿で出会った少女に連れられ、私はノブレゥと呼ばれる国の城下町へやってきた。

少女いわく、ここはテーブレゥで最も栄えた国の一つだそうだ。

月稀人以外の種族が珍しいのだろうか?道で遊ぶ子供たちは不思議そうに私を見つめていた。

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