海を渡り、ノブレゥのはるか東方に向かった私はフランムゥに辿り着いた。
黒いテーブレゥの海における航海は非常に過酷なものであったが(さらに船賃は目を見張るほど高いのである)、無事にたどり着くことは出来た。
初めて訪れた国、大国ノブレゥは雪深くも植物が豊かであった一方、こちらは切り立った崖の中に街が築かれ、岩肌が露出していた。
資源に恵まれているとは言えないようだったが、不思議と街を行く国民は幸せそうに見える。
この国は『戦士の国』と呼ばれている。
戦神ヴィクトゥワの神殿を領地に持つため、国民は皆戦神への信仰心が厚い。
「戦神ヴィクトゥワの祝い」という意味のヴィクトゥフェテという数年に一度の祭りで、最強の戦士を決める伝統があるのだという。
ちょうど今年は祭りが開かれる年だということだ。なるほど街に活気があるのは祭りの為であろう。
街の者に是非見て行ってほしいと誘いを受けた。